今日ご紹介する読み聞かせの本は、講談社から出ている絵童話『しあわせなハリネズミ』です。
この本は毎日新聞の2018年10月に「読んであげて」で掲載された作品に加筆・修正されて出版された絵童話だそうで、大人も子供も一緒に心温まるお話となっています。
お話も素敵ですが、やさしい雰囲気の動物たちのイラストも魅力的です。中の挿絵にはカラーを使うなど物語を引き立てる工夫もこらしてあるのですが、カラーとモノクロではタッチというのでしょうか、雰囲気に違いが少しあり、そういったところも楽しめる作品となっていました。
また、130ページあるので一気に読むと時間がかかってしまいますが、場面ごとに「さんぽ」「であい」「しごと」「はちみつ」「よあけ」とタイトルがつけられているため、短時間での読み聞かせも非常にしやすかったです。
友達って何だろうに答えてくれる?
では、「しあわせなハリネズミ」の内容をを少しだけ、ご紹介します。
物語は、友達がいなくても森をひとりで散歩しても平気というハリネズミが、あらゆることを体験し、友達に対して気持ちがかわっていくお話となっています。
ハリネズミがさんぽをしている途中、ウサギに出会います。ウサギは綺麗な花かざりを身につけ、それについて自慢をしますが、ハリネズミは「きみにはにあわない」と、自分が思ったとおりのことを言ってしまいます。そして、はっきりと言われてしまったウサギは泣いてしまいます。
そんな様子を見ていた、カワウソが「ウサギさんはほめてほしかったんですよ。うさぎさんにあやまりなさい。」と、提案します。しかし、ハリネズミはいうことを聞ききません。そんなハリネズミにカワウソは「ともだちができませんよ。」と忠告しますが、ハリネズミは「ほんとうの気持ちを言えないなら、ともだちはいらない。」と言って去ってしまいます。
しかし、その後「食べられない、やくにたたない泥団子」を作るモグラに出会うことで、ハリネズミの考えに変化がおきていきます。
子供がもった読んでみた感想は?
子供の感想としては、「本当の気持ちを言うことは決して悪いことではないが、友達の気持ちを考えて言うことが必要なんだよねぇ~」と、うさぎの話の部分については、言っていました。
じゃぁ自分だったらどう?なんて一緒に友達に対してどう話をしていいのかなど、親子で考えるよい機会となりました。
この本を読んでふと思い出したことがあります。
子供が幼稚園の頃、女の子のママに聞いた話。
「あなたの服にはひらひらのレースがついていない。かわいくない!って、言われて帰ってきたの。だから、もうこの服は着替え袋に入れないで!」と子供に言われたそうです。
着替え袋には「動きやすい服装」を入れるように幼稚園から言われています。ですから、ママはシンプルな色の動きやすい服をしっかりと入れて持たせたのです。
かわいくない!といった子は「レースがついたワンピース」を着替え袋にいれていたそうです。どうやってきているのだろう?と思ったら、どうやらズボンに無理やり入れ込んで着ているとのこと。
はたしてそれはかわいいのか?と話を聞いて他にも色々と思いはしましたが、幼児期は、まだ相手の気持ちを考えて言うなんて器用なことは出来ないのですよね。
小学生になったとはいえ、低学年の子供はまだまだ気持ちをズバッと言ってしまう子が多いですよね。相手を傷つけたり、傷つけられたりを経験して、心も成長していくと思いますが、こういった童話などを読んで、友達との接し方を考えるのもよいのかな?と思いました。
ハリネズミの心、考えがどう変化していくのか、そしてどんな展開になっていくのか、素敵なストーリーとなっていますので、ぜひお子様と一緒に、大人も楽しんで読んでいただきたい一冊です。